☆二枚の図面

二条城が戦乱で焼け、二代目徳川秀忠将軍再建することになり、名普請奉行

藤堂高寅に図面を書かせることにし、いざ引いてきた図面を見た家老は
「図面が二枚あるではないか? これでは秀忠将軍が迷ってしまうから、
一枚にした方がよいではないか!」 と忠告したが、藤堂高寅は偉かった。
「私が二枚図面を引いて献上したのは、一枚の図面しか書かずに、そのまま城
を再建すれば、二条城は藤堂高寅が造った城になり、秀忠将軍の城ではなく
なってしまう。だから二枚の内でどちらか一枚を選び、殿様に決定してもらう
ことにより、秀忠将軍の建てた城になります」 と言われ家老は納得した。
そうとは知らない秀忠将軍は 「この図面で良かろう」
と決まり建てられた城が今の二条城である。これは部下の独断ではなく、
上司が決めて部下が従うことにより、上司に手柄をたてさせる部下の配慮で
ある。 また反対の場合もある。部下のやる気を出させるために「お前なら
どうする!」と上司に問われたなら「この方がよいと思いますが?」と言って
も、部下は上司から信頼されていると察すること。どの場合でも上司と部下の
信頼関係は、お互いがなくてはならない相手として絆が結ばれている場合に
のみに、他と争わずに組織がまとまるものと思われる。