☆東海道一の大親分


東海道一の大親分がいた。清水の次郎長である。

ある時、勝海舟と会見した。

その勝海舟曰く

「親分には二十八人衆を始め六百人くらいの子分がいると聞くが、

親分のために死ぬこ とが出来る子分は何人いるか?」

普通の親分なら

「あいつとあいつ!」

と言うように指折り数えるのだが、次郎長は

「わしのために死ぬ子分はいない。だが、わしはどんな末端の子分

のためでも死ぬことが出来る!」

勝海舟曰く

「普通の親分は『俺のために死んでこい』と言うが、あなたは違う。だ

から大親分になれたのだ!」

と感銘したと言う。

これがいまの政治家と違う気質を持ち、気骨な人間にしかできない

生き方であり、この生き方が侠客の親分である。