☆良い嫁と悪い嫁

この項は誠の親切とは、何かを気づいてもらうために、二人の嫁のことを書きました。

この二人の嫁は、お互いが陰と陽や表裏一体と、清濁併せ呑むことを知ってほしいた

めの比べる対象物である。善婆と悪婆を読んでもらった方には、何となくでも気づか

れると思う。


良い嫁?

始めのお嫁さんは夫の母親が、病の床についているので献身的に尽くし、毎日が看病

の明け暮れで、食事は体調に負担の無いように重湯を作りお膳を部屋まで運び、母親

を布団の上に起こし、寒くないように羽織ってあげ「お義母さん! はい。あ〜んして」

と言い、口に重湯を運んであげ、食べさせることが日課になっていた。

だが母親はそのつど「味が薄い! 熱くて喉を通らない! まずくてこんな物食えたもん

じゃない! 私を病気にさせるのか!」など、好き勝手に文句の言いたい放題だが、

お嫁さんは「病気が言わせているのだから」と優しくいたわってあげていた。それを

知っている近所のおばあさん達は「良いお嫁さんをもらったわね!」とうらやましく

思っていた。

ある正月前に下の息子が、正月休みで帰郷してきたので母親は大喜びでした。その弟

は兄嫁に「いつも母が世話になっています。私が変わりに母の世話をしますから、安

気に実家で休んできてください!」と言ったので兄嫁は「悪いわね! それじゃあ!

お願いします」と実家に里帰りしました。

母親は久しぶりに下の息子と会え、介護してくれると言ったので大喜びで、一緒に同

居している上の息子夫婦の悪口を言いたい放題。下の息子も久しぶりに再会した母親

と、懐かしそうに思い出話に花を咲かせていたが「ちょっと出かけてくるから」と言

って外出した。

しばらくして戻ってきた息子の手には、コンビニで買ってきた弁当をぶら下げていた。

それを見た母親は息子が食べさせてくれると思い、大きな口を開けて待っていたが、

息子の口から出た言葉は以外にも「クソ婆! 甘えるな! 自分の手を使って食べろ!」

でした。その言葉を聞いた母親は、恐怖心のあまりおぼつかない手を出し、こぼしな

がら食べ始めた。息子は重湯を作らず毎日コンビニで買って来ては、母親の目の前に

差し出し、腕を組んで見ているだけで、一切手を出すことをしない。

正月休みも終わりに近づき、兄嫁も実家から戻って来たので、弟は帰り際に兄嫁に

「ありがとう! 母をよろしくお願いします!」と言って実家を後にし、心の中で

「これでよい!」と呟き、涙を拭きながらバスに乗り込んだ。

主人の弟を見送ってから「お義母さん! 久しぶりに甘えられて良かったわね!」と

言ったところ、母親は涙をこぼし「今まで愚痴の言いたい放題で、すまなかったわね。

これからは自分で出来ることはするからね!」「お前がいてくれてうれしい!」と言

い嫁に詫びました。それから見る見るうちに病が治ってきました。兄嫁は主人の弟に

心の中で「ありがとう! 今まで私のしてきたことは、出来の悪い嫁のすることだと

間違いに気がつきました。心から感謝します!」と東に向かい手を合わせました……。


悪い嫁?

二人目のお嫁さんも、やはり夫の母親が病の床についているが、夫と子供達を会社や

学校に送りだして、自分もパートに出掛けるため、母親の部屋に昼用のお膳を持って

いくだけである。母親は毎日の日課だから昼時になると、こぼしながら冷えた食事を

食べていた。

ある日、転勤族の夫と結婚した娘が、近くのアパートに引っ越して来た。母親と娘は

久しぶりに会えたが、娘は母親のやつれて哀れな姿を嘆き悲しみ、母親は息子と嫁の

愚痴や悪口を言いたい放題。母親は「息子夫婦がいないときに来てね!」と言いなが

ら、自分が持っている合い鍵を娘に渡した。

それから毎日のように娘が合い鍵で開け母親に会いに来て、冷えた食事をレンジで温

め「お母さん! はい。あ〜んして」と、母親の口に運んで食べさせてあげるのが日課

になり、母親も「お前が来てうれしい。これからも毎日来てね!」と言って喜んでい

たが、日増しに病が悪くなる一方で、とうとう亡くなってしまった………。

それから息子夫婦と娘夫婦は遺産相続争いになり、兄弟喧嘩の末に絶縁になってしま

った。


☆誰のお陰か

★この二人のお嫁さんも善婆と悪婆と同様に比べる対象物になっていて、始めのおば

あさんは嫁に「お前がいてくれてうれしい」と言い、後のおばあさんは娘に「お前が

来てくれてうれしい」と言った。この違いが悟りであり、和を作るか憎しみを作るか

の違いである。

★娘が入れば、嫁は入る余地がなく、他の息子が入れば、継いでいる息子も入ること

が出来ない。嫁が入れば、娘は入ることが出来ない。婿や他の息子が入れば、家を継

いでいる息子は入ることが出来ない。

娘は先祖の里へ里帰りで「お帰り下さい!」と丁重に送り出し、嫁は先祖の魂の里帰

りで「お帰りなさい!」と丁重に出迎える。それが魂の結びである「結魂式」だと思

うがどうだろう。

それを誰でもいいから親孝行、近くに住んでいる子供が親孝行では、必ずもめ事や争

いが起きる。善婆と悪婆の中で書いた悪婆が誠の親切であり、二人の嫁の中で書いた

弟息子が誠の親切なのだが、道徳や孝行は直接に親に孝行した子供が、親孝行だと誉

め称えるから争いが起き絶縁してしまう。

☆病人が健康な人をいたわること

昔の教えに「痛い方の手で痛くない手をもめ」とある。これは何を意味するのかと言

えば、病人が健康な人をいたわることを説いていると思う。別の解釈から言えば「親

が子供を慈しみ育てること」になると思う。

病んだから孝行をしなさいでは、誠の孝行ではない。孝行とは一緒に住んでいる子供

に「お前達のお陰だ」と言えること。それを言わずに誰でもいいから親孝行。みんな

で仲良く親孝行、では立場と順序がなくなる。

★親切とは「兄弟姉妹は長男夫婦に孝行」とは何かを気づいてもらいたいために書い

たが、親切の勘違いで「親が作った罪を子供が受け継ぎ孫が現す」と言うように、次

から次へと子供や孫が、色々な不幸を背負ってしまう。その不幸とは離婚、不倫、

蒸発や家出、結婚の縁がなかったり、子供が出来なかったり、アトピーやぜん息、

家庭内暴力や非行、ノイローゼや精神分離、ひきこもりや登校拒否、いじめ恐喝、

遺産相続争いや倒産、リストラ、交通事故死や不治の病など、様々な出来事が起きて

しまう。

★親孝行とは親が子供を慈しみ育てることだが、親に孝行することが親孝行と勘違い

して不幸を作っている。また長男夫婦を無視して親に孝行することは偽善の罪であり、

親と長男夫婦との間に溝を作れば、出しゃばりであり色々な不幸を作ってしまう。

★本家を守るのは継いでいる子供達が守るのではなく、外に出た兄弟姉妹が守ること

によって守られる。大部分の人達は勘違いして親孝行をしているからもめ事になり、

親が亡くなった途端に、兄弟姉妹が絶縁状態になり、出た子供達は本家に寄らずに墓

参りばかりしている。これが原因でまた次から次へと不幸が起きてくる。